円安が進んでいる。円安は輸入品の値上げに直結、食料品など身近な生活必需品の値上がりが相次ぎ、
家計は負担を強いられそうだ。節約や投資など家庭ではどのような対策が可能なのだろうか。(平沢裕子)
省エネ家電に注目
国内の原発稼働停止で輸入燃料に頼る電力関連では、電気料金のさらなる値上げが予想され、
節電が一番の対策となる。特に消費エネルギーの大きい冷蔵庫などの家電は、最新の省エネタイプに
取り換えることで、結果的に大きな節約につながる。
東京電力によると、平成12年製の冷蔵庫(400~450リットル)を同じ大きさの22年製省エネ製品に
換えると、年間480キロワットの節電で1万2430円の節約となる。
また、白熱電球(54ワット)を発光ダイオード(LED)電球に換えると、年間96キロワットの節電で
2480円の節約が可能となる。
家庭で使う電流の大きさ(アンペア)があらかじめ設定されている場合は、見直すのも一つの手だ。
東電や北海道電力など「契約アンペア制」をとっている電力会社の場合、契約アンペアを引き下げることで
基本料金を下げることができる。
新築マンションでは50アンペアや60アンペアなど比較的高いアンペアが設定されていることがあるが、
40アンペアもあれば十分な家庭は多いという。東電の場合、50アンペアを40アンペアに変更することで、
基本料金が年間3372円安くなるという。
必要な分だけを
円安の影響で食料品の値上げも相次いでいる。これから冬にかけて、コーヒーやワイン、即席麺などの
値上げが予定されており、買いだめしておこうという人も多いだろう。
加工食品は保存性が高いとはいえ、賞味期限がある。期限を多少過ぎたものを食べたからといって
健康を害するわけではないが、味は落ちていく。食べておいしくなければ、結局は捨てることになりかねない。
期限内に消費できるかを考えた上で必要な分だけ買うようにしたい。
ファイナンシャルプランナーの綾田亨さんは「麺類などの食料品は買いだめしても置き場所に困る。
個人的には食料品や日用品の買いだめは苦労の割には得しないと思う。円安に備えた買い物を
強いてあげるとすれば、今後買う予定だった海外製の高級グッズを前倒しで買うぐらいでしょうか」と指摘する。
「米ドルがお薦め」
円安で注目が高まっているのが、銀行の「外貨預金」や証券会社の「外貨MMF(マネー・マネジメント・ファンド)」
などの外貨建て投資商品だ。円を米ドルやユーロなど外国のお金で運用する金融商品で、
円安が進むと為替レート(円と外貨の両替の価格)による利益が出るためだ。
例えば、1ドル=100円のときに10万円預けたお金が、円安で1ドル=110円になれば11万円に増え、
金利は別にして為替レートだけで1万円の利益が出る。
ただ、外貨預金は「預金」といっても預金保険制度の対象外なので、金融機関が破綻した際、
普通預金や定期預金のように預けたお金が一定額まで保護されるわけではない。
また、気を付けたいのは、預け入れる際と引き出す際に為替手数料がかかること。例えば1ドル=100円として
10万円分のドルを買った場合、為替手数料が1円なら預入時に千円、引き出し時に千円、合計2千円かかる。
このため、預け入れたときと引き出すときの為替レートが同じなら、為替手数料分損をすることになる。
為替手数料は銀行や証券会社によって異なり、一般的に外貨預金よりも外貨MMFが、
一般の銀行・証券会社よりもネットバンク・ネット証券が安い。
投資なのでリスクはあるが、綾田さんは「しばらく円安傾向は続くとみられており、今は外貨建て投資のチャンス。
通貨はメジャーな米ドルがお薦め。金額としては、例えば毎月3万円貯蓄できる人ならそのうちの1万円を回すのも一案」
とアドバイスしている。
http://www.sankeibiz.jp/econome/news/141026/ecc1410261708001-n1.htm