兜町に不気味な相場ジンクスが流れている。「タイム・ワーナーの呪い」が始まったというのだ。「耳慣れないアノマリー(合理的には説明のつかない経験則)ですが、まことしやかに囁かれています。 最近の株安傾向はトランプ・リスクだけが原因ではないということです」(市場関係者)
タイム・ワーナーは、言わずと知れた米国の巨大メディア企業だ。映画会社「ワーナー・ブラザース」やニュース専門局「CNN」などで知られるが、先月、米通信大手のAT&Tが8兆9000億円で買収を提案。すでに両社は合併に向け動きだしている。
「過去の経験則では、タイム・ワーナーの経営が大きく動くとき、市場は大荒れになるのです。今回も例外ではないかもしれません」(株式アナリストの櫻井英明氏)実際、今週2日は日経平均が300円以上も値下がりした。「円高に振れたことが下落要因」と読む市場関係者は多かったが、「呪い」のせいだと危惧する関係者も少なくなかった。1989年、タイム社(現在は分離)とワーナー・コミュニケーションズ社は合併を発表し、タイム・ワーナーが誕生する。この年、日経平均は3万8915円の史上最高値を付けたものの、そこから未曽有の大暴落が始まった。米国経済は90年から景気後退期に入っている。
「2000年にはタイム・ワーナーと、ネット大手のAOL(現在は分離)が合併しています。その直後にITバブルが崩壊した。タイム・ワーナーの合併劇と、市場の転換点が奇妙に一致します。だから『タイム・ワーナーの呪い』と市場は恐れるのです」(櫻井英明氏)
現在、NYダウは史上最高値圏にあるが、「バブル再来」(ダイヤモンド社)の著者で、経済予測で知られるハリー・デント氏
は来春のバブル崩壊を予測。株価は3分の1になると警告した。そうなると、日経平均は1万円を軽く割り込み、6000円前後まで落ち込む。
「呪い」を解くには、タイム・ワーナーとAT&Tの合併を破談にするしかない……。