新著『Trillion Dollar Economists』の中で米ブルッキングス研究所のライタン氏は、経済学者という職業が「米国および世界各国で数兆ドルの所得と富を生み出した」と主張する。規模の小さい分野であることを考えれば、かなりの貢献といえる。米国経済学会の会員数はわずか2万人だが、彼らが仮に2兆ドルの所得と富を作り出したとしたら、経済学者1人当たり約1億ドルの計算になる。
シーグフリード氏が編集した2010年の書籍『Better Living through Econom―ics』では、そのようなイノベーションの実世界における影響が強調されている。排出権取引や勤労所得控除、低い関税率、ウェルフェア・トゥー・ワーク(福祉から就業へ)プログラム、より効果的な金融政策、周波数帯域免許のオークション、輸送部門の規制緩和、受け入れ保留アルゴリズム(DAアルゴリズム)、独占禁止政策、全志願制の軍隊、デフォルトオプションの賢い利用による定年後のための貯蓄推進、などだ。