ハドソン研究所の石油問題専門家は次のように述べている。
「シェールオイルとシェールガスが世界のエネルギー市場に大変動をもたらした。石油と天然ガスの安値は、短期的な現象ではない。その影響がすでに世界各地で現れている。特に石油大国ロシアは、収入が激減してルーブルが急速に下落している」
ロシア経済を支えてきたエネルギー資源の安値に、政治的立場を脅かされ始めたプーチン氏は2日、露ジャーナリストとの対談でこう言った。
「原油安は、ロシアを滅ぼそうとする米国とアラブ共同の陰謀だ。米国やヨーロッパ諸国による経済封鎖には負けないが、原油安という陰謀は手ごわい」
ロシアでは通貨ルーブルがすでに40%以上も低落しただけでなく、外国資本が急速に国外に逃げ出している。すでに1100億ドル(13兆2000億円)の海外資本が流失したとみられているが、統計上ロシアは原油や天然ガスを売って2000億ドル近い外貨を手にしている。これまでの稼ぎでGDPの10%の国内備蓄を誇っている。
しかし、ロシアには原油と天然ガス以外に輸出するものがない。海外投資はドル建てで行わなければならないが、国内に入ってくるのは日増しに安くなるルーブルだ。通貨の低落でインフレがひどくなり、生活が苦しくなり始めるとともに、プーチン氏に対する国民の不満が高まっている。
プーチン氏は2000年、「国民の生活を豊かにする」という約束を掲げて大統領に就任して以来、国民の強い支持を背景にロシアでの政治的、軍事的権力を一手に握り、文字通り好き勝手な行動をとり続けてきた。ついにはウクライナ侵略まで強行し、国際社会を敵に回して経済制裁を受ける羽目になった。
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20141210/dms1412100830004-n1.htm