ドルやユーロなどの外国通貨について相場の高低を予想して売買を行う「バイナリーオプション」と呼ばれる金融取引を巡り、
全国の消費者センターへのトラブル相談が7月から急増していることが分かった。
国民生活センターによると、2012、13の過去2年度は全国で数件、約10件だったが、
今年度は7月だけで約180件に上り、8月はそれを上回るペースという。
金融庁は取り扱う業者を登録制としているがインターネットで
参入してくる海外業者には実効性が乏しく、事実上野放しの状態だ。【大迫麻記子】
金融先物取引業協会によると、バイナリーオプションは10年ごろから個人向けで広まった
。円高か円安かなど二者択一で相場を予想し、予想通りなら利益を生み、外れれば損をする仕組みだ。
これに対し、金融庁は海外業者も含め、国内で営業する場合は金融商品取引法(金商法)
に基づく登録が原則必要とし、昨年8月からは短期間取引を禁止した。警告を無視し続ければ、
5年以下の懲役か500万円以下の罰金、あるいは双方を科すという罰則も設けられている。
しかし、実際は海外に本拠を置く業者がネット上で無登録のまま営業し、
規制の網をすり抜けているのが現状だ。そのため全国の消費者センターには、海外業者に絡んだ相談が急増している。
東京都消費生活総合センターに相談した20代男性は、10万円を海外の無登録業者の口座に振り込み、
それを元手にギャンブルのように短時間で取引を繰り返した。
残高が6万円に減ったため返金を求めたところ業者が応じないという。
同様に110万円を失った関東地方の30代男性もいたといい、30〜40代の会社員らが5万〜30万円の被害に遭うケースが多いという。
金融庁は「海外業者には罰則をかけようにも難しい」と“お手上げ”状態で、
同センターは「バイナリーオプションは非常に投機性が高い。取引する場合でも登録の有無を確認してほしい」と注意を呼びかけている。
登録の有無などについては金融庁がホームページ(
http://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku/03.pdf)で公表している。
http://mainichi.jp/select/news/20140902k0000e040233000c.html
バイナリ−投資:返金応じず被害急増 海外業者野放し
「『高』か『低』かを選ぶだけのシンプルな取引」
「業界トップクラスを誇る魅力的な高配当」「取引は最短で60秒」−−。
バイナリーオプションを宣伝するサイトにはこんな言葉が並ぶ。いずれも金融庁が警告した無登録の海外業者だ。
相談が急増しているサイトの一つの「option99」。所在地は英領ジブラルタルでやはり無登録だ。
サイトの運営業者には「返金に応じない」などのクレームが相次ぎ、
金融庁が7月に警告を出したが、その後も営業を続けているという。
東京都消費生活総合センターによると、「バイナリーオプションでもうけた」
などと日本語で体験談を記したサイトから無登録業者に誘導され、
トラブルに遭うケースが目立つといい、こうした業者を推奨する「ランキングサイト」まであるという。
金融取引に詳しい福村武雄弁護士は「無登録業者によるバイナリーオプションは法的根拠がなく、
『丁半ばくち』と変わらない」と指摘。「民法の公序良俗違反にあたり、
裁判をすれば取引自体が無効になる可能性もある」と話す。【大迫麻記子】
◇バイナリーオプション
外国通貨などの短期的な相場を予想する取引。例えば10時間後のドルに対する円が、
事前に設定した価格を上回るか下回るかを予想し、その通りになれば一定額の利益を得る一方、
外れれば損となる。予想期間が24時間を超えない短期間取引が大半で投機性が高いとされる
毎日新聞 2014年09月02日 15時00分
http://mainichi.jp/select/news/20140902k0000e040234000c.html
バイナリ−投資:サイトに甘言 金融庁の警告も無視