1: 海江田三郎 ★ 2016/06/27(月) 18:10:10.63 ID:CAP_USER
http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/201606/CK2016062702000185.html
千葉県市川市に住む介護職員の男性(33)は、三年前から付き合う彼女に結婚を言い出せずにいる。
職歴は十年で、今は認知症の人が住むグループホームの施設長を務める。だが、手取りは役職手当などを加えても月二十二万円ほど。「今の待遇では、『安心して僕と結婚して』と言えない」とため息をつく。高校卒業後、家庭の事情で進学をあきらめ、実家暮らしでアルバイト生活を始めた。仕事を掛け持ちしても、手に入るのは月十五、六万円。
四年たったころ、友人から「これからは介護の時代だ」と誘われた。 一年契約のパートで働き始めたが、手取りはアルバイト時代とほぼ同じ。二年後に正社員になれたが、手取りは横ばい。ボーナスも付かなかった。 「変わったのは、有期契約が無期になったくらい」。それでも介護の仕事に魅力を感じて、勉強してケアマネジャーの資格を取るなど努力を重ね、正社員六年目には管理職になった。でも残業代が付かなくなり、手取りは逆に下がった。 年下の彼女も介護現場で働く。二人でいると将来のことも話題になるが、「この仕事だと、二人とも一生フルに働かなければならないね」で話は終わる。実際、男性でも結婚を機に転職する同僚をたくさん見てきた。仲間うちで「男の寿退社」と呼ぶ。 「将来、子どもが生まれても、これで食っていけるとはとても言えない」。男性はつぶやく。 一方、派遣の仕事を首になったのをきっかけに、正社員を目指しているのが三重県鈴鹿市の男性(27)だ。 五月下旬、派遣社員として五年働いた自動車部品工場を解雇された。「正社員になりたい。生活安定のために」 五年前の月収は手取り約二十五万円。二、三年前から仕事が減り、ここ半年は午後二時に終業の日も。両親とはアパートに同居。だが、派遣社員として同じ工場で働いていた父も一緒に解雇された。最後の月給は約六万円。「たぶん、父も同額。生活が苦しいのは見れば分かる」。
北海道にいる彼女にメールをするのが数少ない楽しみだ。 先日、「下流老人」という言葉をテレビで知った。高齢になるまで働き続けても、生活苦になる厳しい現実にぼう然となった。 就職に有利になるように、大型重機などの運転免許取得に挑戦するつもりだ。「正社員でも、賃金は右肩上がりにならないかもしれない。でも何もしないよりまし」と思いながら。 (三浦耕喜、寺西雅広)
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先行きの見えない不安に、日本全体が覆われる中で始まった参院選。私たちの暮らしはどうしたら良くなるのか-。未来をつかもうとする人々を追った。 ◆同一賃金への道筋はっきりと失業率や有効求人倍率は近年改善しているが、給与水準は低迷している。全勤労者の平均年収は2014年が415万円で、00年に比べ46万円減少した。 労働問題に詳しい龍谷大の脇田滋教授(労働法)は正社員の給与が上がらない背景を「同じ仕事で安く雇える非正規雇用が増えている中、正社員の給与を上げる理由がないため」と指摘する。昨年の労働者派遣法の改正で派遣労働者の受け入れ期間を最長3年とする制限が事実上、なくなった。「正社員でも定年まで会社にいられるとは限らず、将来が保証されていないのが一番の問題」という。
参院選では、同一労働同一賃金の実現を掲げる政党が多いが、「正社員の待遇を押し下げてはならない。どのように実現するのか、各党とも道筋をはっきり示すべきだ」と話す。
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