コロナ禍の収束がみえない中、株高を演出しているのは、主要中銀の金融緩和だ。米連邦準備制度理事会(FRB)の緊急利下げに続き、欧州中央銀行(ECB)や日本銀行も追加緩和に踏み切った。
11月になると、米大統領選でバイデン前副大統領が勝利を確実にしたことやワクチン開発を足掛かりに、株価は急騰する。米ダウ工業株30種平均は3万ドルを突破し史上最高値を更新。日経平均は今月29日に2万7千円台を回復した。
歴史的な株価とは対照的に、実体経済の回復の足取りは弱い。東京商工リサーチによると、今年の飲食業の倒産は年間の最多を更新。完全失業率も11月は2・9%と高い水準にとどまる。
野村証券によると、今年3月から12月中旬にかけての3中銀の資産増加額は800兆円規模に上る。
中でも、日銀は年12兆円を上限に上場投資信託(ETF)の買い入れを通じて、株式市場に直接資金を供給する異例の手段を取る。相場下落時には多い日で2千億円分のETFを購入しているため、株価水準と生活者の感覚とのズレが生じているのだ。
こうなると、バブル崩壊への懸念もくすぶるが、その発端となるはずの金融引き締めの気配はみられない。むしろ足元の感染再拡大を受けて、3中銀は12月に入り、緩和を長期化する姿勢を強めている。日銀もETFなど資産買い入れの柔軟化を模索する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘チーフ投資ストラテジストは「コロナの感染状況によっては、もう一段の追加緩和もあり得る。スーパー金融相場は来年も続く」と予想する。( https://news.yahoo.co.jp/articles/21ae9826981c5235b64a58ce1171916b2a3b4202