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6000円近い定価にも関わらず、世界中でベストセラーとなっているトマ・ピケティの『21世紀の資本』。
「富めるためには投資せよ」の教えに従えば、日経平均2万円を目前にした今、指をくわえて静観している手はないはずだ。
ではいったい、どうすれば富める人になることができるのか?
世界中に広がる格差の正体を解き明かしたといわれる『21世紀の資本』。第一生命経済研究所の永濱利廣氏は、こう解説する。
「本書の肝は、過去の膨大なデータから、資本主義における「資本収益率(r)>経済成長率(g)」という不等式を検証したこと。
端的に言えば、『労働より投資のほうが儲かる』という誰もが薄々感じていたことを、歴史的に立証したのです」
元手が大きいほど有利なのが資本主義。持てる者はますます富み、持たざる者がコツコツ働いたところでその差は広がっていく一方だ。
「特に‘00年代に入ると、新興国の台頭と安い労働力の流入によって労働の価値が落ち、『r>g』に拍車がかかっています。
先進国と新興国の格差が縮まった代わりに、今後は先進国においても国内の格差が拡大していくでしょう」
上図のように、日本でもすでに格差の底辺である「マス層」に全世帯の約80%が集中。
そして、「マス層」と「準富裕層」の間には「アッパーマス層」という階層ができている。手をこまねいているばかりでは、
今後、広がる一方の格差社会において、永遠に「マス層」から抜け出すことはできない。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は、
「まずは貯蓄重視の運用を見直すべき」と釘を刺す。
「40歳で年収500万円の人が60歳までに3000万円の資産を形成する場合、収入の30%を貯蓄に回し続けねばならず、
相当な根気が必要。仮に投資で年10%の運用ができれば収入の10%しか貯蓄に回せなくても達成可能です」
SPA!編集部によるアンケート調査によると、40歳までに資産3000万円を貯めた人は279人。
うち、年収500万円以下の属性に限ってみると、52人の該当者がいた。その52人を対象にしたアンケート結果(円グラフ参照)を見れば、
大半が投資の運用益で、本業の貯金だけで3000万円に到達したのは、わずか14%と少数であることがわかる。
「そもそもインフレ局面においてお金の価値は相対的に下がるので、『貯金=リスク』です。例えば、年3%のインフレが進めば、
1000万円の貯金が実質30万円の損になる。これを、税金のように取り立てられるので『インフレタックス』と呼びます」(藤川氏)
このようにアッパーマス層を目指すには投資が不可欠。「現在は絶好の追い風」と永濱氏は語る。
「昨年は17年ぶりに賃上げ率がアップし、年度明けから個人消費が戻ってくるでしょう。夏頃からはプレミアム商品券の効果も予想され、
本格的な好循環に入る兆しがあります。来年前半頃までは円安・株高のトレンドが続く可能性があるでしょうね」
好景気の今はガッチリ元手を作る時期。「元手があれば、仮に不況で株価が下がっても、
代替的な金融商品への投資も視野に入ります」とは前出の藤川氏だ。
「お金持ちの蓄財パターンを見ると、必ずしも滑らかな上昇の弧を描いているわけではありません。
リスクを取るステージと、手堅く守るステージを組み合わせ、階段状に資産ラインを伸ばしているケースが大半です」
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