ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に基づいた通常の株価と長期金利の動きは、景気が強ければ共に上昇し、弱含めば下がる。デフレ脱却を経済の最優先課題に掲げる安倍晋三内閣が発足した12年12月以降、TOPIXは9割超も値上がりする一方、国債投資も日銀の大量国債購入を背景にした金利低下で5.2%の収益率を上げている。量的緩和政策の下で金利急騰と金融機関による投げ売りの悪循環「VaR(Value at Risk)ショック」が生じた03年は、相関係数が5月の0.4231から6月に0.0948へ低下。長期金利は0.43%と当時の過去最低を記録したが、9月には1.675%と4倍近くに跳ね上がった。TOPIXは10月の高値から11月の安値までの下落率で15%を記録した。みずほ証券の末広徹マーケットエコノミストは「景気や物価に基づいて動けば、株価と金利は順相関になる。株高・金利低下や株安・金利上昇は流動性相場の典型的な現象だ」と指摘。流動性相場では「金融緩和の度合いと資産価格の上昇が線型的ではなく、思惑先行で急騰したり、行き過ぎると調整が入ったりとセンチメント次第だ。調整時に逆方向に巻き戻してしまうのはある程度やむを得ない」と言う。