1: ノチラ ★ 2018/03/25(日) 23:15:32.81 ID:CAP_USER
世界的に株価の変調が見られるようになりました。いま何が起きているのでしょうか。世界の経済・金融市場に詳しいBNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストに聞きました。(聞き手=平野純一・編集部)【毎日新聞経済プレミア】
--世界的に株式市場が動揺しています。原因はどこにあるのでしょうか。
◆河野龍太郎さん 株式市場は2月上旬に変調が起きました。米国でニューヨークダウが1日で1000ドル以上下げ、日本でも日経平均株価が1日に1000円以上急落しました。その後持ち直しましたが、市場は再び不透明感を増しています。
2月の急落の直接原因は、米国の長期金利の上昇でした。低い長期金利の継続が高い株価の前提でしたが、トランプ政権が大幅減税を打ち出し、財源の当てがないままインフラ投資を加速させようとしたことに市場が反応して長期金利が上がり、株式市場が動揺したのです。
トランプ政権は今年11月の中間選挙をにらみ、自分の支持者向けに保護主義的な政策を打ち出しています。鉄鋼・アルミニウムの輸入関税を引き上げることを表明し、経済政策の司令塔で、保護主義的な政策に反対だったゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長を辞任に追い込みました。
私はこれまで、もし現在の株価がバブルであるとしても、2018年のマーケットは上昇が続き、その崩壊は19年に入ってからではないかと考えていましたが、少し早まっているように思います。
◇社債市場にもリスクの可能性
--現在の株価がバブルだとすると、リスクはどこにたまっているのでしょうか。
◆まずは、世界的な金融緩和で余った資金が株式市場に大量に流れ込んでいることがベースにあります。今回は社債市場にも気になる動きがあります。世界的に行き場のなくなった資金は、米国の社債市場にも大量に流入していますが、その結果、米国企業は低い金利で大量の社債を発行するようになりました。しかし資金を得ても有望な投資先がないので、大企業は、自社株買いを積極的に行っています。これが株価をさらに押し上げる要因になっています。
株高が続くと、もうかったと思う人が消費を増やし、実体経済が過熱してきますが、そうなると長期金利が上昇し、これまで株価を押し上げてきたサイクルが一気に逆回転を始めるリスクがあります。トランプ政権の財政ばらまきが、それを前倒しさせる可能性が出てきました。
08年のリーマン・ショックの時は銀行がデリバティブ商品をたくさん持ち、それが暴落したことで、金融システムリスクに発展しました。その後、大手銀行に対しては規制が厳しくなり、もし次に何かショックが起きても、金融システムリスクが起きる可能性は低いと思います。しかし、日本も含め金融機関が投資ファンドを通じて社債を大量に買っています。ここにリスクがたまっている可能性があります。
--この20年くらいの世界経済は、バブルが崩壊すると緩和政策を行い、それがまたバブルを生むということを繰り返しているようです。
◆現在はデジタル革命などと言われ、技術革新が進んでいますが、所得が増えているのは、資本やアイデアの出し手、一部の経営者など限られた人ばかりで、平均的な労働者の賃金はあまり上がっていません。
所得の増加が集中する高所得者は中間・低所得者より消費性向が低いので、マクロ経済全体で見ると、貯蓄が積み上がり、経済はなかなか活性化しません。本来、政府は所得分配の強化を行うべきですが、簡単には受け入れられないので、中央銀行の金融緩和で賃金上昇やインフレを醸成させようとします。
無理に金融緩和で対応しようとするため、それがバブルを生み出しているのです。それが破裂するとまた金融緩和を強化し次のバブルを生むということを繰り返しています。議会制民主主義の限界が表面化していると言えるかもしれません。
20年前から、米国はバブルを醸成することでしか完全雇用を達成できなくなっている、というのが私の仮説です。また、ドイツが完全雇用を達成しているのはGDP(国内総生産)比で8%もの経常黒字を生み出しているからです。ドイツ経済の実力に比べて割安なユーロがそれを可能としていますが、米国のバブルが崩壊すれば、ドル安・ユーロ高になるので完全雇用は維持できなくなります。
日本が完全雇用を維持しているのも、持続不可能な財政赤字を続けていることに加えて、円安政策を続けることで、GDP比で4%を超える経常黒字を維持していることがあります。米国のバブルが崩壊すれば、円高が進むため、日本も完全雇用を維持できなくなります。つまり米国のバブル頼みということです。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180324-00000015-mai-bus_all
--世界的に株式市場が動揺しています。原因はどこにあるのでしょうか。
◆河野龍太郎さん 株式市場は2月上旬に変調が起きました。米国でニューヨークダウが1日で1000ドル以上下げ、日本でも日経平均株価が1日に1000円以上急落しました。その後持ち直しましたが、市場は再び不透明感を増しています。
2月の急落の直接原因は、米国の長期金利の上昇でした。低い長期金利の継続が高い株価の前提でしたが、トランプ政権が大幅減税を打ち出し、財源の当てがないままインフラ投資を加速させようとしたことに市場が反応して長期金利が上がり、株式市場が動揺したのです。
トランプ政権は今年11月の中間選挙をにらみ、自分の支持者向けに保護主義的な政策を打ち出しています。鉄鋼・アルミニウムの輸入関税を引き上げることを表明し、経済政策の司令塔で、保護主義的な政策に反対だったゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長を辞任に追い込みました。
私はこれまで、もし現在の株価がバブルであるとしても、2018年のマーケットは上昇が続き、その崩壊は19年に入ってからではないかと考えていましたが、少し早まっているように思います。
◇社債市場にもリスクの可能性
--現在の株価がバブルだとすると、リスクはどこにたまっているのでしょうか。
◆まずは、世界的な金融緩和で余った資金が株式市場に大量に流れ込んでいることがベースにあります。今回は社債市場にも気になる動きがあります。世界的に行き場のなくなった資金は、米国の社債市場にも大量に流入していますが、その結果、米国企業は低い金利で大量の社債を発行するようになりました。しかし資金を得ても有望な投資先がないので、大企業は、自社株買いを積極的に行っています。これが株価をさらに押し上げる要因になっています。
株高が続くと、もうかったと思う人が消費を増やし、実体経済が過熱してきますが、そうなると長期金利が上昇し、これまで株価を押し上げてきたサイクルが一気に逆回転を始めるリスクがあります。トランプ政権の財政ばらまきが、それを前倒しさせる可能性が出てきました。
08年のリーマン・ショックの時は銀行がデリバティブ商品をたくさん持ち、それが暴落したことで、金融システムリスクに発展しました。その後、大手銀行に対しては規制が厳しくなり、もし次に何かショックが起きても、金融システムリスクが起きる可能性は低いと思います。しかし、日本も含め金融機関が投資ファンドを通じて社債を大量に買っています。ここにリスクがたまっている可能性があります。
--この20年くらいの世界経済は、バブルが崩壊すると緩和政策を行い、それがまたバブルを生むということを繰り返しているようです。
◆現在はデジタル革命などと言われ、技術革新が進んでいますが、所得が増えているのは、資本やアイデアの出し手、一部の経営者など限られた人ばかりで、平均的な労働者の賃金はあまり上がっていません。
所得の増加が集中する高所得者は中間・低所得者より消費性向が低いので、マクロ経済全体で見ると、貯蓄が積み上がり、経済はなかなか活性化しません。本来、政府は所得分配の強化を行うべきですが、簡単には受け入れられないので、中央銀行の金融緩和で賃金上昇やインフレを醸成させようとします。
無理に金融緩和で対応しようとするため、それがバブルを生み出しているのです。それが破裂するとまた金融緩和を強化し次のバブルを生むということを繰り返しています。議会制民主主義の限界が表面化していると言えるかもしれません。
20年前から、米国はバブルを醸成することでしか完全雇用を達成できなくなっている、というのが私の仮説です。また、ドイツが完全雇用を達成しているのはGDP(国内総生産)比で8%もの経常黒字を生み出しているからです。ドイツ経済の実力に比べて割安なユーロがそれを可能としていますが、米国のバブルが崩壊すれば、ドル安・ユーロ高になるので完全雇用は維持できなくなります。
日本が完全雇用を維持しているのも、持続不可能な財政赤字を続けていることに加えて、円安政策を続けることで、GDP比で4%を超える経常黒字を維持していることがあります。米国のバブルが崩壊すれば、円高が進むため、日本も完全雇用を維持できなくなります。つまり米国のバブル頼みということです。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180324-00000015-mai-bus_all